肝臓治療の最近の傾向
2005.6


ラジオ波治療とアルコール注入法

C型活動性慢性肝炎をインターフェロンなどで治療して、ウイルス量が減れば肝臓ガンの危険性は減ることになるのですが、もし不幸にしてガンが見つかったら・・・・基本的には手術ということになります。

手術で癌の周りを十分離して取りきれば、再発は少ないのは異論がありません。限局したものには手術は有効です。 手術しない場合については、 RF(ラジオ波治療が今脚光を浴び、かつて主流だったアルコール注入治療は旧式な印象ですが果たしてホントでしょうか?

肝臓ガン病巣は小さいうちは薄皮(線維被膜)に包まれています。アルコールを注射すればあんこの部分の癌細胞は死にます。しかし、少し大きくなると饅頭状のガンの中にさらにガン饅頭が入っているような状態になります。皮が入り込んでくるようなものです。ここにアルコールを注入しても皮が邪魔になり全体にアルコールが行き渡らない可能性があります。

ラジオ波で熱をかけると、アルコールと同様に癌細胞は死にますが、熱は薄皮に関係なく全体に伝わりますから、理論的にはラジオ波のほうが再発が少ないだろうといわれています。このため、最近ではラジオ波がブームになっています。3個以内、3cm以内くらいが大方の目安です。

患者さんの為になると思い、医師も飛びついているRFですが、科学的にラジオ波の方が絶対いいというデータは存在しません。東大がRFの効用を実証するために、ランダム化試験を発表していましたが、統計的に差は出ませんでした。ラジオ波は最近開発されたものであり、まだ数年の経過しか見ていませんので、差が出なかったのが最大の理由と思われます。

ラジオ波にもいくつかの種類があり、癌の焼き方にも差があります。クールチップというのが主流のようです。ラジオ波にも欠点があります。この針は太くて、あまり深くて角度がつけにくいときには針を刺すのが困難です。機械の値段は300万円台で医療器械としては安いほうですが、使い捨ての針の値段は一本10万円程度するのも欠点です。医療費抑制の折に針の値段が保険では引き合いません。

ところがアルコール注入法は針が細いので、かなり面倒な角度や深さでも実施できることが多いです。アルコール注入法なら、針の値段も安く薬剤コストも安いので、どこの病院でも可能です。

どの治療法にせよ、早期発見が重要なのには異論がありません。 C型活動性慢性肝炎の方は最低限3ヶ月に一度、高機能な超音波検査装置を持っている医療機関で治療継続されるのが賢明です。もう一つ・・・・

超音波検査を行う医師の腕ですが・・・・・・消化器内科や肝臓内科で実地研修されたことのない医師の場合、横隔膜直下のガンを見落とすことが多く、折角の検査でも意味がありません。たとえ超有名な基幹病院内科に在籍していたからといって、専門科外であれば一般内科医よりも腕が劣ることだってあるのです。騙されてはいけません。血液内科や神経内科などの専門医が超音波機械を使うのは素人同然でしょうから。


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