抗酸化剤のウソとビタミン剤
( CoQ10とVitamin E )
2005.10
 

抗酸化剤が老化のメカニズムを防止するという学説が一人歩きをしています。
私も CoQ10とVitamin E を研究してきた学者の一人として少し冷静な目で評価してみます。


Co-enzyme Q10について:

テレビの深夜CM番組などでCoQ10(キューテン)化粧品がブームになろうとしています。
これに加えて健康情報番組が盛んに美白・お肌が錆びる・酸化する・過酸化物と騒ぎ立て、善良な女性たちを脅迫して効きもしない化粧品を売りつけようとしています。

今から20ん年前、大学研究室でヒトの老化もメカニズムの研究をしてきた学者の一人としては「何をいまさら・・・。時代遅れの薬品が今ごろ・・・。」というのがホントに正直な感想です。.CoQ10とはCoenzymeQ10(コエンザイムQ10)の略です。別名ubiquinon(ユビキノン)とも言います。ubiqとは、どこにでもある・ありふれたキノンという化学構造を持った薬物という意味です。名前のとおり、動植物に広く分布しており、余程の栄養失調でもないかぎり不足はきわめて考えにくいのです。

このユビキノンはミトコンドリアの中に存在し、電子伝達系の重要要素で、呼吸の最終段階、酸素はここで使われ、エネルギーが生み出されるのです。ですからミトコンドリアの中にも十分に存在しているのです。ですが、あくまでミトコンドリアの中だけで酸化と還元を繰り返し、CoQ10が強い還元能力ももって、エネルギーを得ているのは間違いありません。これに目をつけた医学の医の字も知らない商売人が抗酸化作用を宣伝し、化粧品に利用したのが発端です。

一時期、ミトコンドリアのエネルギー不足が関連する病気の連想から、約40年位前に熱心に心臓で量が測定されました。確かに心臓では年齢とともにかなり減少しているのが証明されましたが、当時の私の見解は老化そのものが原因でなく老化現象の心不全による現象であったと記憶しています。心臓にエネルギーさえ与えてやれば、心不全は改善します。その結果アメリカを中心に多くの論文が発表され、心不全治療剤として認可されました。日本ではノイキノンという薬です。注射薬と飲み薬でしたが、現在でも軽い心不全には飲み薬として時々使用されていますがもちろん重症の心不全には効きません。私個人はこのお薬を使うことはありませんが、毒にも薬にもならない安いお薬という評価で敢えてけなすことはしません。

言い換えますが、現在あまり使用されない薬ですがある特殊な先天異常(体内でCoQ10を作れない病気)には良く効くのは事実です。このように普通の人体ではCoQ10を作ることもできますし、過剰摂取もほとんど問題にならないので、大衆薬としてインターネットでも入手可能です。しかし、飲みつづけた人で、美白効果はおそらくありません。まして皮膚から吸収するかどうかも怪しいものです。急に美白をうたいだしたのは、商売だからです。本来の効果にさえ、まともな大部分の医師が疑問に思っているのです。 実際医師は聖人ではありません。たくさんいるのですから当然まともでもないお医者さんもいます。どこかの有名大学の名誉教授だって、お金に目がくらみウソの評価をしてアガリスクが抗ガン剤だと言った事例は、エイズを容認した安倍教授に次ぐ犯罪です。何か状況が変化したら、良いことか悪いことか調べもせずに、さも「効果があった」と声高に叫ぶ、テレビショッピング的ヒステリック言動は、時には面白く娯楽に近いかも知れませんが、科学的・医学的評価に耐えられるとは思いません。少なくとも、商売にだけは使わないで欲しいな!と昔の抗酸化剤研究学者は思うのです。白痴同然のマスコミに言っても始まりませんが、今後CoQ10は多くのいいかげんな「健康番組」で紹介され、ブームとなることでしょう。少なくともいい加減な評価をする専門家だけは出て欲しくありません。

化粧品ということでは、シミを取るとの妄想にはまった形成外科の医師が「ハイチオールC」とかいう一般薬治療を勧めています。私もかつて医学書の処方に基づいてシミに悩む患者さんに同様のお薬をずいぶん処方した経験があります。今、内科医として間違っていたのではと反省しています。何故なら理論はともかく、多量の高価なお薬を保険外診療で処方し全く効果がないのがわかったからです。要するに美白の最大の敵は紫外線であり、外出しないこと。どうしても外出をする場合、確実に日焼け止めを塗るしかありません。その他、お若い女性たちに増えている喫煙を止めることです。ヘビースモーカーの肌は老化が急速に進むのは知られた事実です。タバコを吸ってハイチオールC服用・・・・コメントできない。

確かに動物実験では、ハイチオールCなどはシミを取るらしいですが、人間に同じ量を投薬すると副作用で生命の危機をおこすので、厚生労働省は理論的には効かないけど副作用が出ない量を認めたらしいです。

京都の河合医師によりますと、WHOの記事では、1300の論文を検証した結果、ビタミンE ポリフェノール フラボノイド(ワイン・お茶・たまねぎ・りんご由来) セレン。 これらの抗酸化療法は効果が無い。サプリメントを摂取しても効果が無い。時に喫煙者は逆に有害。とのことです。VCは風邪をごくわずかに軽くするかも知れないという程度。結論としてサプリメントの摂取は薦めず、逆に過剰摂取は有害だそうです。


ビタミン剤の抗酸化作用について

食品から、バランスよく撮るのが重要です。

一般的に医師側はビタミンの効用については一定の評価をしていますが、抗酸化ビタミンについては否定的です。 ところがアメリカの栄養学者は肯定的です。このように専門家でも立場で意見が分かれます。 アメリカで加齢黄班変性を約20%減少させ、失明を予防したもの。 Vitamin A、C、E、と亜鉛・銅のmixアメリカで食品中に葉酸を添加したところ、脊椎管閉鎖不全の新生児が10分の1に低下したとの報告がその根拠です。

注記 脊椎管閉鎖不全
日本では1万人に6人(年間673人)がこの先天異常をもって生まれる。 無脳症、二分脊椎、脳瘤、水頭症などさまざまだが、二分脊椎(脊柱の構造の部分的欠陥で、髄膜と脊椎の奇形を伴うもの等)が半数を占め、増加傾向にある。一生車椅子の生活となることが多い。妊娠可能年齢の若い女性は0.4mg/dayは、サプリメントで摂取すべきと河合医師は言われています。

その他は科学的証明が不十分ですが否定的意見が多い。

VitE:

Miller 1日400単位以上のVitamin Eは投与すべきでない。

VitC:

Lee 1923名糖尿病女性 閉経後 VitaminC 300mg/day以上で血管障害のリスク上昇。

2004年Am J Med フィンランド VitaminC で心血管障害が減少

Vitamin C を一日200mg以上摂取ではプロオキシダント作用が出現し、抗酸化能力を失うという実験あり。

VitA:

VitaminA 多くても少なくても大腿骨折は増加するというデータ等。

ベータカロチン喫煙者の肺癌が増加したのは有名。

葉酸:
N Eng J Med2004年6月24日 冠動脈ステント後 投与群では再狭窄が増加した。(血管が詰まった)ただし、胎児の奇形は防止できた。

イソフラボン:
サプリメントで摂取すると、避妊用ピルの半量程度の女性ホルモン作用があります。前立腺癌予防にはいいかもしれませんが、不妊化するかもしれませんし、ホルモンを体外から摂取するのは安全性からいって疑問。食品からの摂取は容認できますが、高濃度のサプリメントは問題があるでしょう。(証明はまだありません)。


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