お薬の飲み方について
2005.7

  ーお薬の上手な飲み方使い方についてー    


         
おくすりの種類


内服剤の服用時間と回数

服用時間による区別

  • 食前(吸収がよくなる) : 漢方薬 食欲増進薬 増血剤 血糖降下剤
  • 食間(食後2時間)   :胃薬(制酸剤、中和剤)鎮痛剤の一部
  • 食後(食後30分以内) :胃を荒す薬や胃薬など(消化剤などは食中でも可)

服用回数による区別

  • 1回/日(朝、昼または夕の食前や食後または眠前)
  • 2回/日(朝昼、朝夕または朝 眠前の食前または食後)
  • 3回/日(朝昼夕の食前または食後、朝夕の食前または食後と眠前)
  • 4回/日(朝昼夕の食前または食後と眠前、6時間毎)
  • 6回/日(4時間毎または朝,10時,昼,15時,夕,眠前の6回)
  • 隔日1日1回(朝、昼、夕の食前か食後または眠前)
  • 週2〜3回 (月水金や火木土など)
  • 頓用(症状のあるときだけ服用)

お薬はいつ飲んだらよいでしょう?

  • 服用時刻のめやす
  • 食前…・食事の前約30分に服用
  • 食後…・食事の後約30分に服用
  • 食直前…食事の前すぐに服用
  • 食直前10〜15分服用-------糖尿病治療剤のファスティック、スターシスだけ
  • 食直後…食事の後すぐに服用
  • 食間…・食事の後約2時間位して服用

大部分のお薬は、食後約30分内の服用でいいのですが中には、特に服用時刻が指定されているものがありますので、指示をもう一度よく確かめて下さい。服薬法については、食前、食間では胃が空になっているので薬物の吸収がよく、作用もあらわれやすくなっています。これに対して食事中、食事の直後では、作用のあらわれ方は遅くなりますが、胃に停滞する時間が長いので、薬物の作用は長く続きます。なお、“食事”ということがうたってありますが、−般には、薬と食事そのものとはあまり関係なく、服用を忘れないように、食事時刻をあげたにすぎません。食事をしようとしまいと関係なく服用して下さい。たとえば、一日3回服用するということですと、一日に2回しか食事をしない人では、一回は食事なしでも服用することになります。しかし、経□糖尿病薬のように、食事そのものが薬の作用に著しく影響するものもあるような場合、さらには消炎鎮痛薬など胃腸機能を傷害しやすい場合、必ず食事はして下さい。もし食事をしないときは、薬は飲まないでおく方が安全です。

糖尿病の内服薬で超速効型インスリン分泌薬の「ファスティック、スターシス」などの血糖降下剤が発売されていますが、これは例外的に食前15分〜10分前に服用しないと(例えば食後服用では殆ど効果がないばかりか食間服用すれば低血糖発作など重大な副作用を起こすことがあります)効果が出ませんので、特に注意が必要です。



服用のしかた

お薬の正しい飲み方は?

お薬は少量の水かぬるま湯で飲むのが原則です。錠剤・カプセルはかまずにそのまま、少量の水とともに飲み込みます。大抵の場合、お茶で飲んでもかまいませんが、錠剤などは濃い緑茶と一緒に服用すると、吸収が悪くなりますし、造血剤などは効果がなくなる場合もありますので避けて下さい。よく水なしで薬が飲めると自慢する人がいますが、これは誤りです。薬が溶けて効果をあらわすためには、少量の水が必要なのです。ことにカプセルは水なしで飲むと、食道にくっついて、薬がとけ出し、食道の粘膜を傷めることかありますのでくれぐれも注意して下さい。

最近、噛み下して飲む胃薬(ガスターD錠)が流行していますが、これなどは例外中の例外です。



薬を使用するときの注意点

1 医師、薬剤師を信頼して、わからないことがあれば分かるまで聞く。
2 副作用かな?と思っても自己判断をさけ、医師、薬剤師によく相談をする。
3 処方前に医師に必ず告げる事項 

  a.薬に対するアレルギー歴、副作用歴


(ひどい話ですが内科の医師以外では知っている人の方が少ないかもしれません。整形外科など外科系の医師には一度テストをしてみられてはいかがでしょう?)

緑内障
+
鎮痙剤
失明
緑内障
+
脳循環剤(セファドール)
失明
前立線肥大
+
鎮痙剤
尿閉
ピリン過敏症
+
総合感冒薬
ショック
⇒死亡例
過敏症
+
抗生物質
ショック
⇒死亡例
喘息
+
Bブロッカー
喘息発作、
呼吸困難
⇒死亡例
心不全
+
Bブロッカー
心不全、
ショック
⇒死亡例
便秘症
+
鎮咳剤
腸閉塞
妊娠の有無
授乳の有無
持病の有無と使用中の薬

  b.最近まで使用していた薬の有無

(直前まで服用していたお薬は血中に残留していることがありますので、新たにお薬をもらう場合には必ず、申告してください)

4 薬をもらって必ず守る事項
  • 自分に処方された薬だけを飲む。いくら症状が似てても他人のお薬は飲まないこと。
  • 指示用量・用法・回数を守る
  • 一度に2回分以上の薬を飲まない
  • 市販薬と一緒に飲まない。どうしても必要なときは主治医かかかりつけ薬剤師に相談。
  • きちんと保管する(冷暗所、冷蔵庫)



現在流行っている民間療法

ヨーグルトきのこ ドクダミ モロヘイヤ オオバコ ニチニチソウ 高麗人参 尿飲用療法 酢大豆 酢卵 冬虫夏草 イカリソウ キチンキトサン 青汁 マメシバ アガリクス茸 etc



病院の薬と薬店市販薬

病院や診療所の薬を的の小さいレーザー光線銃に例えると市販薬は多くの効用を狙った散弾銃と言うことができるしたがって医師の承諾なく異なる病院の薬どうしを併用して飲むことは安全域を超えることがあり危険、病院の薬と市販薬の併用も未知の副作用が発生することがあり危険また市販薬の慢性長期使用は特に多重障害の危険性がある。


健康食品

医薬品と違って食品には副作用のチェックがないため、医薬品よりも危険なことが多い。注意が必要、しかも民間療法(薬)との併用で重篤な臓器障害がおこった報告もあり要注意です。

最近、厚生労働省もやっと「科学的根拠のない効能の禁止」を謳ったが。時すでに遅し。

厚生労働省自信も最近、科学的根拠に乏しい「特定保健用食品」なる訳の分からない食品を袖の下で認可したから、一般国民にはさらにわかりにくくなってしまいました。



お薬の飲み合わせ食べ合わせの怪


薬の飲み合わせの注意は?(他の医師からも薬をもらっている時)

二種類以上の薬が重なると、互いに作用しあって影響することがあり、ある場合には作用が強くなったり、ある場合には弱くなったり、ある場合には有毒な化合物を形成することすらあります。それらのことについては、一人の医師からもらっている場合には、その医師がそれらの点を考慮して処方しているのですから問題はありませんが、他の科、あるいは他の診療機関からもらっている場合には問題になることがあります。必ず主治医に現在服用中の薬の名前を伝えたり、あるいは薬を見せて確認してもらうことが望ましいのです。2カ所、3カ所から同じ系統の薬をもらっていたりすると、過量になり生命の危険すら出てきます。

またある医帥からもらった薬の作用が、他からもらった薬のため抑えられてしまったのでは治療に差し支えかねません。ついでに、酒で薬を飲む人はいないでしょうが、一般に酒を飲んだときには薬の作用は速く、強く現れます。酒と同じように大脳の機能を抑制する作用を持つ鎮痛剤、催眠剤、精神安定剤を酒と一緒に飲むとその作用効果が重なり合って重篤な副作用が出ることがありますので注意して下さい。 

以下のお薬や食品の併用で副作用が起こることがある
グレープフルーツジュースは降圧剤の効果を増強します
(お薬を代謝する酵素を分解してしまうためカルシウム拮抗剤の血中濃度が増えて結果として容量オーバーとなると言われています)ただし、カルシウム拮抗剤の中でも大きいシェアを持つ「ノルバスク」「アムロジン」はこのグレープフルーツジュース効果が特に少ないので気にしなくても良いと言われています。お昼の健康番組でおなじみの「ポリフェノール」も相性の悪いお薬があるので要注意です。

抗生物質(テトラサイクリン)
+
牛乳
⇒効力低下
抗生物質(テトラサイクリン)
+
胃薬
⇒効力低下
抗生物質(ニューキノロン)
+
牛乳
⇒効力低下
抗生物質(ニューキノロン)
+
胃薬
⇒効力低下
抗結核剤(INH)
+
チーズ
⇒効力増強(赤ワイン、ソーセージ、アボガド、コンソメも作用あり)
便秘薬
+
牛乳、
⇒胃潰瘍
便秘薬
+
カルシウム剤
⇒効力低下
糖尿病薬(インスリン)
+
タバコ
⇒効力低下
喘息薬(テオフィリン)
+
タバコ
⇒効力低下
喘息薬(テオフィリン)
+
カフェイン
⇒覚醒作用
喘息薬(テオフィリン)
+
ニューキノロン
⇒効力増強
降圧剤(Ca拮抗剤)
+ グレープフルーツ
⇒効力低下
降圧剤(Bブロッカー)

+
チーズ
⇒徐脈
抗血栓剤(ワーファリン)
+
納豆
⇒凝固傾向
(ワーファリン効果減弱)
増血剤
+
下痢止
⇒効力低下
強心剤(ジギタリス)
+
食物繊維
⇒不整脈
感冒薬 
+
カフェイン
⇒イライラ作用
消炎鎮痛剤 
+
アロエ
⇒胃潰瘍
消炎鎮痛剤 
+
クロレラ
⇒胃潰瘍
消炎鎮痛剤
+
血糖降下剤
⇒低血糖
抗ヒスタミン剤
+
鎮痙剤
⇒尿閉

    


お茶の弊害

  • 鉄剤、尿酸治療剤(アロプリノール)、精神安定剤(ジアゼパム)の効果低減
  • 喘息治療剤(テオフィリン)、潰瘍治療剤(シメチジン)の効果増強

いずれにしても内服治療中の方は、濃いお茶には注意が必要です


運転に注意を要する薬


薬を飲み忘れたときは?

たいていの薬は、一回くらい飲み忘れてもあまり問題はありませんし、忘れたからと、あわてて2回分一緒に飲んでしまっても大きな問題はおこらないはずですが、中にはそのことが影響し、治療に支障を起こすお薬もありますので注意して下さい。次に飲み忘れが生命の危険に結びつく例をあげておきましょう。これらの薬は、指示通りにきちんと服用するようにして下さい。

<シギタリス剤、抗不整脈剤>一度にまとめて服用の禁止。効きすぎて中毒となり、心臓の拍動に支障を与え心不全をひきおこす危険があります。

<経口血糖降下剤>一度に2回分3回分をまとめて飲むと、低血糖を起こすことがあります。ねる前などに、まとめて飲みますと夜間から夜明けにかけて著しい低血糖を起こしかねません。

<抗生物質>抗菌剤はできるだけ、一日中、等間隔で飲むことによって、血液中の薬の濃度を一定に保ち、それによって殺菌効果を得ようという性質の薬です。したがって、飲み忘れると、その間血液中の薬の濃度が落ちてしまって、効きめが悪くなります。もし飲み忘れても一日量を一日できちんと服用することが必要ですから、忘れた分をすぐ飲み、残りは短い時間間隔でよいから、分けて飲んでしまう方がよいのです。


急に中止すると危険な薬は?

お薬によっては、決められたとおりに服用を続けないと効果の出ないものがあり、続けているからこその効果が続いているというものがあります。ホルモン剤などはことにそうです。また、血圧の薬のように、勝手に薬を飲むのをやめてしまうと、危険なことが起こりかねない薬もあります。降圧剤によって血圧がおちついてくると、つい服用がおろそかになりかねません、急に中止すると、血圧がビーンとはね返りのように上昇して脳出血を起こす(リバウンド現象)ようなことがあり非常に危険です。血圧が下がっているのは、降圧剤をのんでいるからのことですから、薬を減らしたり中止する際には必ず医師の指示を受けて下さい。経験的に1年のうちで脳卒中の危険な時期は「勤労感謝の日」「春分の日」の前後1ヶ月ですから特に注意が必要です。

保管と管理で注意することは?

お薬は、もらった時の袋に正しく入れて、箱(カン)とか引き出しの中に保管して下さい。何の薬かがわからなくなりそうでしたらマジックペンで書いておくとよいでしょう。また、湿気が多いところや、直接日光があたるところ、高温になるところは特に避けて保管してください。子供のいる家庭では、子供の手の届かないところ、目につきにくい場所に保管するようにします。お薬は原則として、処方された“その人のその時のため”だけのものです。したがって、病気がなおったあと、残った薬は原則として捨てたほうがよいでしょう。お薬の中には、抗生物質などのように効果のある期間(有効期間という)が限定されているものや、ピタミン剤とか酵素剤などのように、変質しやすい性質の薬が少なくないのです。狭心症の頓服薬のニトログリセリンなども一定期間が過ぎたら新しい薬を処方してもらいましょう。坐薬や目薬(特に白内障の目薬 )などは冷蔵庫で保管するようにして下さい。

外用薬使用の目安

  • 目薬は  1回2-3滴 1日3-4回
  • 吸入薬は 1回1-2吸入 1日3-4回
  • 貼付薬は 1日1-2回貼り替え
  • 坐薬は発熱、疼痛時頓用で 1日1-2回くらいまで
  • 塗り薬は 1日数回は塗る必要があります

特に指示のない場合これでよいと思います。


ブラウザの戻るボタンでお戻り下さい