介護保険をよく知るために・・・
(介護保険業者にだまされないための講座)
2005.6

介護保険用語集(近日公開予定、工事中)


介護保険は社会保険の一つで、正確ではありませんが、ひとことで言うと40歳以上の国民が強制加入させられる1年毎を単位とする掛け捨て社会保険です

社会保険には


介護保険 は上記の社会保険の5番目に加わりその一つになります

社会保険とは「国民生活の安定を目的とし、疾病や死亡など生活を脅かす事由=これを保険事故という=が発生した時、一定の給付を行う公的保険」のことを言います

以上をまとめますと

介護保険は、要介護状態が生じたときに支払われる保険であり、強制的に加入させられ、強制的に保険料をとられ、いくら長期にかけても戻ってくることはなく、事故(寝たきりなど要援護状態)がおこらない限り1円も支払われないという掛け捨て保険であると理解してもよいでしょう。


介護保険の主体は?

先日、ある自治体の介護保険責任者に質問したときの回答は「そりゃ自治体ですよ」

・・・・えっ!!

あきれたというか、こんな認識がまかり通るのが公務員なんです。ホントの正解は「主体は利用者、要介護者およびその家族」です。ちなみに自治体は「運営主体」という事務とお金の管理が仕事なんですよ。もうわかってくれましたか・・・ホントに頼みましたよ!!!!


介護保険の対象は?

全国でどれ位の人が保険料を納めるの?


介護保険の負担は税金半分

みなさんは介護保険にかかる総費用の全部が介護保険料でまかなわれるとお思いでしょうか?これは間違いです。その財源の半分は全く関係のない国民の血税でまかなわれるのです。40歳以上の被保険者が納める莫大な金額でも全財源の半分にも満たないわけで、1割負担も余儀なくされています。全くお国は何を考えているんでしょう?この税収不足の折、平成12年4月からは何兆円もの税金が介護保険の名の下に露のごとく消えてしまうのです。これが赤字国債という私たちの子供、孫の世代のつけになるのです。

ほんとにこれでいいのでしょうか?


要介護者は25人分の保険料と税金で介護を受ける

ところが、65歳以上の有資格者のうち、残念ながら認定を受けられる人は10%にも満たないはずです。例えば認定者の中で最も多いとされる要介護度1の人は16万円強のサービスを受けることができるとして、サービスの利用料は個人負担1割ですから残りの15万円の半分は税金というわけです。介護保険料で残りの半分の7.5万円を負担するとして、1号保険料の平均が3000円として・・・計算すると・・・

この介護の必要な1人のご老人を支える健康被保険者は7.5万円/3000円 = 25人です。

単なるたとえ話ではありますが、なんと1人の要介護者は25人の保険料を使うことになるのです。3年後には1月あたりの保険料は8000円とも言われており、そろそろ私たち被保険者は政府に対して本気で怒る準備をしていてもよいのではないでしょうか。

これは例えのお話ではありますが、あながちフィクションではありません。


介護判定をほんとに決めるのは訪問調査員である

介護保険を受けるためには、まず最初に認定を受ける必要があります。医療保険のように保険証を持っていけば、いつでも診察や往診が受けられるという利便性はありません。しかも体のことをよく知ってくれているかかりつけ医でなく、全くど素人の公務員や特別公務員の訪問調査員のたった1時間にも満たない訪問調査によって、合格・不合格(自立・要支援・要介護1〜5)という運命の大半が決められてしまうのです。

すなわち訪問調査員は医師よりも、ケアプランを担当するケアマネージャーよりもあなたの介護決定に関する重大な権限を持ってしまうことになるのです。現実にモデル事業では一人のお年寄りを複数の訪問調査員に調査させたところ、当自治体ですら全くバラバラの結果、すなわち要支援から要介護3まで4段階も違った結果が出たのです。厚生省はこれらのトラブルを回避させるため一次判定に用いるコンピューターロジックのせいにして、そのツケを第三者(認定審査会)に回すおつもりだったようですが、実際には、やっぱり訪問調査員の技術にかかっているのです。

モデル事業の結果、当初予定していなかった医師の意見書を付けて介護認定審査会(二次判定)を行うこととしたのです。コンピューターの不具合を認定審査委員のせいにされてもかわいそうですが、じっくりと考えてもみてください。専門家とはいえ、その要介護者を見たこともない人たちが、たった5〜6分の討論で「コンピューターの結果が間違っていますよ」なんて発言できますか?単純ミスならともかく、もし偉そうに「これは違うよ」と、そんな意見が言えるとしたら、それは神様だけです。尤も審査委員の中には自分が神様だと錯覚している人もおられるので困っていますが。

実は二次審査にはとても面倒な足かせがあるのです。要介護状態区分の変更等の際に勘案しない事項についてという一次判定変更禁止条項のため、認定審査は一次判定に大きく左右されます。よく、二次判定では一次判定にとらわれずに判定している等とマスコミ報道されたり、そう言う関係者もいますが、現場の認定審査を知らない方の発言です。現実にはこの禁止条項はまだ廃止されていませんし大きな影響力を持っています。

今後、この制度がもしこのまま維持運営されて行くなら、ホントに介護度を上げて欲しければ訪問調査員に付け届けをするのが一番早道です。情けないことに主治医には何の権限も発言力もありません。まさに素人さんが牛耳る介護保険を垣間見た気がします。ドイツの介護保険よりはっきり言ってボロですね。

それを考えて実行している、厚生労働省の役人は、さらにぼろボロです。


ケアプラン(介護実施計画)の作成

幸運にも、めでたく?要介護認定がなされたとしてもまだまだ安心はできません。今度はむだ遣いの危険性をふまえたケアプランの作成が待っているのです。介護保険の問題点のコーナーにも書きましたが、ケアプランは本来とても崇高な倫理を持つ(はずの)公人・聖人であるケアマネージャーが作成することになっています。ひも付きケアマネさん(ケアマネさんとは?のコーナーに記載)には難しい問題だということでしたね。

まず要介護者が最初にしなければいけない手続きがあります。居宅介護支援事業所に対して居宅介護支援の依頼と、その事業所に居宅サービス計画作成の依頼をした旨を自治体(市町村)に届け出る必要があるのです。要するに、あんたは認定されたから、サービスを受けるもやめるも勝手だよということです。自治体が「どうされますか?」などと聞いてくれるのではないのですよ。一般企業ではこんなことしてたら潰れてしまいます。自治体がやるとこんなに面倒なんだ。だから素人ケアマネージャーに責任を押しつけるということなんです。

そういう理由で、ここでケアマネージャーが出てきて、居宅サービス計画作成を手がけることになるのです。もちろん利用者本人でも、資格を持たない素人の家族でもプランは立てられることにはなっていますが、このプランは専門家が立てたプランと違い市町村に提出することになるわけですから、市町村への届け出が遅れたり、市町村の都合によっては取り敢えずサービス全額を負担し、あとで(2〜3ヶ月後?)市町村から9割が返還される制度(償還払い)になってしまうかもしれません。寝たきりの人では一月30万円近くの立て替えが必要になってしまいますので3ヶ月分で100万円近くの立て替えをすることになります。実質的に不可能なわけですね。

居宅介護支援事業所に依頼すると、そこのケアマネさんは計画思案を作って、ケアカンファレンスというサービス事業者担当者会議を召集することになります。ケアマネさんたちは、ケアプランを作成するにあたり、要介護者宅まで出向いて、ケアカンファレンスという介護計画のコーディネート会議(サービスを担当する全職種、もちろん主治医も加わって)を開くことになっています。でもホントにケアカンファレンスが開けるのでしょうかね?みんな忙しいですからね。

県の指導官からも言われていますが、ケアカンファレンスを開かないで、利用者の了解もなく勝手にケアプランを立てているケアマネさんを見つけたら最寄りの医療機関(デイケアをやっている悪徳医でない医師に)か県の福祉課や国保連に実名で報告しましょうね。


「不服申し立て」についてと「事業者への苦情」について

不幸にして、認定漏れ(非該当と判定された場合)になったり、保険料が間違っていると思われた方へ:

介護認定や保険料についての不服は県の介護保険審査会(市町村に置かれる介護認定審査会とは別物です)に申し立てることができます。またサービスその他の不満については県の国保連合会に苦情を申し立てることができます。後者は、介護支援事業者のケアマネージャーや介護サービス事業者、市町村でも受け付けることになっています。これは不服申し立てとは言わず、苦情と言います。前者の不服申請はは認定のあったことを知った日より60日以内に県の介護保険審査会に審査請求する必要があります。その手続きは市町村にもその責務があり、処分庁(認定を行った市町村長)を経由して行うことができます。したがって町議会で、担当者(町民福祉課長)が自信たっぷりに「町の行った認定に不服のある人間が町に文句を言うことはできないので受け付けない」旨の議会答弁はまったく的はずれと言わざるを得ません。町担当者は早く、不服申請と苦情処理の違いくらい知って欲しいものです。

ところが私の患者さんで、明らかに認定が間違って低くされているご老人に、不服申請を勧めたときのことですが、全員ではないにしろ80歳以上の方には「役場に逆らうなんて」という親方日の丸理論が根強いのです。もし役場に逆らったら村八分にされるとか、役場の行事に出られなくなるとか・・・・結局この方は不服申請を固辞されました。

これが、古いお考え、いや今までの措置制度の名残りとでも言うべきでしょうか?

役場の役人さんへ!不服申請が出ないのは決して訪問調査や認定審査会が完璧だとか立派だからではないんだよ!暗にあなたたちがお年寄りをやんわり脅迫してるからなんですよ!・・・と言ってやりたい(私にはほんとのことは怖くて言えませんが・・・・)


ケアマネージャーは大半、いや全員が施設のひも付き

聖人であるケアマネージャーのプラン料はビックリするほど低い報酬に設定されたことで、生活の糧にできる聖人ケアマネージャーは存在しないことになります(ボランティアが全くいないとは言いませんが)、殆どみんなが施設や介護支援センターのひもつきケアマネージャーになってしまうことになります。既に厚生省はこのような利益誘導ケアマネージャーの営業活動を禁止しました。でも罰則のない規則なんて誰が守りますか?こんなでたらめな営業活動なんかとっくに予測されたわけですから、「なにをとぼけた厚生省さん、いまさら何ですか?ケアプラン料さえ、もっとケチらなければ、自立開業するケアマネさんもいたはずですし、もうちょっと上手くいったかも」と考えた人はなにも私だけではないはずです。

もし善良なケアマネさんたちが居たと仮定しても、結局は所属する組織の姿勢(施設長の方針)に押し切られて利益誘導になってしまうのは火を見るより明らかなのです。利用者のためのケアプランなんて夢のまた夢!!!

ケアマネ業務だけで飯の食える(ご飯の食べられる)ような制度にし、ひも付きでなくても仕事ができるようにしない限りこの問題は決して解決しないのです。実際ケアマネさんの仕事量は一般の福祉関係の仕事よりハードなのですよ。わかってますか?厚生労働省さん。

私は、こんなたちの悪いケアマネさん(ケアマネさんとは?のコーナー参照)を名付けてみました。


ほんとに必要な介護サービスとは?・・・余計なサービスばかり強要するケアマネ

結果としてひもつきケアマネージャさんは必要もないデイケアやホームヘルプサービスを組み入れることになります。高価ではあるが訪問看護や訪問入浴といったほんとに必要で命にかかわるようなサービスは組まなくなってしまいました。

厚生省も明言しましたが、介護保険の認定方法で、医療をほとんど必要としない特別養護老人ホームの入所者を対象に考えて要介護判定する制度(コンピューター判定ソフトは全く在宅ケアを無視して作成されています)なわけですから、寝たきりで医療を必要とし、家族がほんとに困っている要介護者のことなんか全く計算に入っていなかったのです。

これで、病気のある人は長生きしないようにという見え見えの厚生行政政策は見事完成することになります。後に総理大臣になったどこかの厚生大臣が以前うっかり「働かない老人など国が養う必要ない」とのご発言がありましたが。これが現実性を帯び、「年寄りは早く死ね!ということなんでしょうね。きっと。

以前、お元気老人に医療デイケアを行っていた医療機関は例外なく居宅介護支援事業所を立ち上げて、患者さんをだまして、介護申請させ、介護保険でケアプランをたてて必要もないデイケアを組み入れて、丸儲けしています。みなさんはだまされないように注意が必要です。たとえ医者であっても、いざというとき往診してくれるようなかかりつけ医以外は信用しませんように!、ホントに。

よく、わたしのかかりつけ医は、私の体をよく知ってくれている総合病院の医長の○○先生ということを聞きます。でもそれは介護がホントは必要でないときのこと。介護が必要になったとき、気軽に往診に来てくれる内科のかかりつけ医こそが、ホントのかかりつけ医ではありませんか?少なくとも、往診などできない救急病院の脳外科の医者が意見書を書くという愚をおかさないように、医師会にも指導をお願いしたいものです。


ケアマネさんの選び方:

基幹病院以外で検査の多すぎる病院の付属施設のケアマネには要注意

介護支援専門員とはいっても、病気のことを十分ご存知でない職種の人に対し、6.15万円〜35.583万円もの多額の介護費用の使い道をまかせるのです。痴呆や精神症状のない、1人暮らしでもない在宅の要介護者に入所や入院を強くすすめるケアマネージャーはたぶん紐付きです。こんなケアマネさんには少なくとも命を預けるのだけはやめましょう。もし気に入らないケアマネさんははっきり断ることができます。かかりつけ医に相談し、別の機関にお願いしましょう。

自分のお金(介護費用)の使い道と命をまかせるのですから信頼に価する人にお願いしましょう。でも、人柄だけよくてもケアプランを作る実力がなければ、やっぱしダメですが。

もちろん自分自身や家族でも計画を立てることは可能ですが、計画書は国保連でなく自治体に提出するので、へたな自治体では現物給付にならず、全額を立て替えるという面倒な方法を採らざるを得ないことになるかもしれません。あなたは取りあえずとは言っても月30万円以上のお金を2〜3ヶ月も立て替え払いできますか?

いずれにしてもご自分で計画を立てたいならば、かかりつけ医にご相談されることをお勧めします。もし悪徳医でなければ、きっといいケアマネさんを紹介してくれるでしょう。