生活習慣病とは
2006.9

注!:生活習慣病は生活習慣を改善したらといって治ってしまうことはありません


生活習慣病とは

1) 成人病から生活習慣病へ

平成8年9月より使い始めた新語ですが、下記の病名を見る限りホントに生活習慣のみが原因とも思えない病名もあります。

  高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、肺癌、胃癌、大腸癌、乳癌、子宮癌などを含む

2)生活習慣病の定義

「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」 

3)生活習慣病の防ぎ方

禁煙、適運動、減酒、適睡眠、適体重、適食習慣

4)増加する心臓病(死因第2位)

5)動脈硬化が引き起こす病態

狭心症、心筋梗塞、脳卒中

6)ライフスタイルと成人病

喫煙、アルコール、運動不足、ストレス、肥満

7)肥満の改善(標準体重kg = 身長m X 身長m X 22)

標準体重+20%以内に

8)高血圧/高脂血症の運動療法(一日150Cal以上)

9)脈拍からみた運動療法

10)高血圧-治療の目標

家庭用血圧計(135/85以下に)

食事(一日8〜10g/NaCl以下に)

薬物治療

11)高脂血症-治療の目標

総コレステロール 220mg/dl以下(T-chol)

悪玉コレステロール150mg/dl以下(LDL-c)

善玉コレステロール 40mg/dl以上(HDL-c)

中性脂肪(トリグリセライド)150mg/dl以下(TG)

食事(低カロリー食)---糖尿病ほど厳しくありませんが30〜40Cal/kg体重

薬物治療

12)体脂肪率の測定

男性ー10〜20%  女性ー20〜30%

13)ウオーキングの勧め

歩きやすい服装で姿勢よく


生活習慣病の防ぎ方   

厚生省は、昭和40年代から用いてきた「成人病」を「生活習慣病」と呼びかえるように提言しております。

生活習慣病を代表するのは、高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、そして悪性新生物である肺癌・胃癌・大腸癌・乳がん・子宮癌などです。

アメリカの医学者ブレスローとエンストロムは、1965年から30歳以上の成人男女・約7000人について7つの健康習慣を調査し、死亡率との関係を検討しました。その結果、7項目中6項目以上守っている人では45歳時の平均余命は3年あるのに対し、3項目しか守ってない人の平均余命は21年と短いことを明らかにしました。

 さてあなたは下記項目を何項目守っていますか?

  @喫煙をしない

  A毎日適度な運動をする

  B深酒をしない又は酒を飲まない

  C規則的に7〜8時間の睡眠をとる

  D適正な体重を維持する

  適正体重の目安は、

    体重(L)÷身長(E)÷身長(E)=22±2

  E朝食をきちんと食べる

  F間食をしない

生活習慣病予防のポイントは、一に禁煙、二に腹七〜八分目と、酒は飲まないか飲んでも少量、三に運動・休養、そして多くの人・事・物に接して生きがいを高めることにあります。これらをひとことで表わすと「一無(禁煙)、二少(少食・少酒)、三多(多動・多休・多接)」の生活になります。生活習慣病には遺伝的要素が深く関わっておりますが、その重みは4割以内で、毎日の生活習慣が6割以上の重みを持つとされておりますので、以上7項目を実践し、元気で長生きを享受したいものです。


成人病から「生活習慣病」へ(H8.9)

厚生省は、過去40年間にわたって使われてきた成人病の名称を「生活習慣病」と変え、予防をより重視した対策に取り組むことを、9月15日までに固めた。9月末の公衆衛生審議会成人病難病対策部会に小委員会を設置し、研究や対策を検討する。

 考えてみれば成人病という言葉は大変便利で、行政上の挨拶などでは人口の小子高齢化などと並んで極めてよく登場する。しかし、医療の現場では余り使われない言葉であった(例えば診断名として用いられることはない)。それもそのはず、成人病は1956年ころから使われ始めた行政用語であり、厚生省は「40歳前後から死亡率が高くなり、全死因の中で高位を占め、働き盛りに多い疾患」と定義していた。今から40年前の疾病構造の中ではこの定義でかなりの部分カバーできたのであろうが、最近のトレンドには対応できない部分も多い。

 例えば、最近関心の高まっている骨粗鬆症や歯周疾患。有病率は極めて高く、高齢者のQOL向上のためには対策が欠かせないが、決してそれ自体が死因となることは多くない。また高血圧や糖尿病なども3大成人病の基礎疾患としては予防が重要なのは言うまでもないが、今までの定義のなかでは言葉を濁した説明になりがちであった。私なども仕事柄よく健康教育で成人病予防について喋って欲しいと依頼されるのだが、骨粗鬆症などを範囲に含めるべきなのか、悩みの種(ちょっと大げさ)だったのである。

 さて、「生活習慣病」のねらいであるが、若い世代に対しては1次予防の充実、高齢者には発病者に対する病状悪化予防対策(3次予防)によるQOL向上といったところにあるようだ。今回の新聞発表記事の中で気がつくことは、がんの早期発見などの2次予防には余り触れられていないことである。例えば肺癌などに対して検診も大切だが、今後はたばこ対策などの1次予防の方により重点を置いていこうということであろうか。

 しかし、成人病という言葉もすでに相当定着しており、逆に「生活習慣病」では言い表わせない部分をもカバーしているのであるから、個人的には両方の言葉が住み分けしながら並存していって欲しいような気もしている。毎年発行されている「成人病のしおり」も「生活習慣病のしおり」になるのかな。


ブラウザの戻るボタンでお戻り下さい